会社員や公務員などが加入する勤務先の健康保険(社会保険)や共済組合。この保険の被保険者本人、またはその被扶養者が亡くなった場合にも、葬儀費用に関する給付金制度が設けられています。国民健康保険の「葬祭費」とは異なり、こちらは「埋葬料」または「埋葬費」という名称で呼ばれ、その内容も少し異なります。まず、「埋葬料」についてです。これは、健康保険の被保険者本人が亡くなった際に、その人に生計を維持されていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹など)に対して支給されるものです。支給額は、加入している健康保険組合に関わらず、全国一律で五万円と定められています。また、被保険者の扶養に入っていた家族が亡くなった場合には、「家族埋葬料」として同様に五万円が支給されます。この「生計を維持されていた」という点がポイントで、必ずしも同居や扶養に入っている必要はなく、被保険者からの継続的な経済的援助によって生活していた事実があれば対象となります。では、亡くなった被保険者に、埋葬料を受け取れる遺族が一人もいなかった場合はどうなるのでしょうか。その際に登場するのが「埋葬費」です。これは、実際に埋葬(火葬や葬儀)を行った人に対して、かかった費用の実費が支給される制度です。例えば、故人の友人や、亡くなった会社の同僚が費用を負担して葬儀を行った場合などがこれに該当します。ただし、支給額には上限があり、「埋葬料」と同額の五万円を上限として、実際に支出した金額(棺代、火葬費用、僧侶へのお布施など)が支払われます。申請手続きは、故人が勤務していた会社を管轄する全国健康保険協会(協会けんぽ)の支部や、会社が独自に設立している健康保険組合の窓口で行います。申請には、所定の「埋葬料(費)支給申請書」に、会社の事業主による証明や、死亡の事実を証明する書類(死亡診断書のコピーなど)を添付して提出します。こちらも申請期限は、亡くなった日の翌日から二年以内です。ご自身やご家族が会社員であるならば、万が一の時にこの制度の存在を知っているか否かで、経済的な負担は大きく変わってくるのです。
会社員なら知っておきたい「埋葬料」と「埋葬費」