小さな家族葬を執り行う上で、多くの遺族が最も頭を悩ませるのが「誰をどこまでお呼びするのか」という参列者の選定です。これは非常にデリケートな問題であり、対応を誤ると後の親族関係に影響を及ぼす可能性もあります。まず、参列者を決める際に基準となるのは、故人の遺志です。生前に「この人には声をかけてほしい」といった希望があった場合は、それを最優先に考えましょう。明確な遺志がない場合は、遺族で話し合い、基準を設けることが大切です。例えば、「故人と同居していた家族と、故人の兄弟まで」「三親等以内の親族まで」といった具体的な線引きをすると、判断がしやすくなります。親しい友人を呼びたい場合は、故人との関係性の深さを考慮し、ごく数名に絞るのが一般的です。重要なのは、家族の誰か一人が独断で決めるのではなく、必ず全員で相談し、合意を形成することです。これにより、後から「なぜあの人を呼ばなかったのか」といった不満が出るのを防ぐことができます。そして、もう一つ重要なのが、お呼びしなかった方々への伝え方です。何も連絡をしないのは、相手に対して大変失礼にあたります。葬儀が終わってから一週間から二週間後を目安に、手紙やはがきで「故人の遺志により、近親者のみで葬儀を執り行いました」という旨を、事後報告として必ず伝えましょう。その際、生前お世話になったことへの感謝と、事後報告になったことへのお詫びを一言添えるのがマナーです。電話で伝える場合は、相手を驚かせてしまう可能性もあるため、言葉を選びながら慎重に話す必要があります。誠実で丁寧な対応を心がけることが、故人が築いてきた大切な人間関係を、遺族が引き継いでいく上で何よりも重要となります。